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Cherry blossoms 2nd season (1)





桜の花びらが、舞い落ちる。


僕の肩に

僕の髪に


キミの愛が、降りしきる。

僕の体に

僕の心に


キミを離したくないって、思った。



初めて、素直になれたんだ。



あの夜、

桜の花びらがハラハラと舞い落ちる中で…

キミを抱きしめて

もう、離さないって…



僕は誓った。





フィルムツアーや、

諸事情で、

はぁ?


パソから離れますので、

久々に、

ミンチョル…

イキます。





・°*。・°*・°*。・°*・°*。・°*・°*。・°*・°*。・°*・



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(1)


会食の帰り道、ミンチョルの乗ったタクシーは、
ヨイドの桜並木の近くを通りかかった。

渋滞に疲れてシートにもたれていた彼は、車窓から桜を見ていた。

桜は、すべてのエネルギーをこの機会に一気に放出するかのように、
精一杯花を咲かせている。

夜の闇にそこだけ明るく浮かび上がり、人々を誘っているようだ。

昼は、清々しく可憐な花も、
夜は、どこか妖艶で、その美しさに、思わず酔いしれる。


「満開だな…」


思わずつぶやいたミンチョルに、
ここぞとばかりに、運転手が口を開いた。


「今が見頃ですよね」
「夜は、少し冷えますがね」
「お客さん、花見には行かれましたか?」


「いや…」
「忙しくてね…」


低い声で、そっけなく答えるミンチョルの顔を
運転手は、バックミラーでちらりと窺った。

外を眺める端正な横顔には、たしかに疲労の色が濃かった。


こういう男は、どんな仕事をしているんだろう?
それにしても、若いのに、妙に威圧感のある男だ。


商売柄、いろんな人間を見てきた運転手は、
ミンチョルに興味をもった。


「たいへんですねぇ」
「今夜もこれからまだお仕事ですか?」


「ええ…まぁ…」


ミンチョルは、いちおう返事をした。

タクシーの運転手という職業は、なかなか侮れない。
時折、いろいろな情報をもっていたりする。

いつもなら、情報収集のために、運転手のこういった軽口にも
耳を傾けるミンチョルだったが、今夜は、そんな余裕はないほど、
疲れていた。


「そりゃ…お疲れですねぇ」
「お客さん、お仕事は、何関係ですか?」
「やっぱり経営かなんか、なさってるんでしょうねぇ」
「あ、いえね…うちの息子なんか…」


堰を切ったように、自分の身の上話をペラペラと話し続ける運転手に、
ミンチョルは、いささか閉口した。

彼は、バックミラー越しに運転手をジロリと見つめ、
深々とシートに座って目を閉じた。


実業家だな。
きっとやり手だろう。
結婚してるんだろうか?
やり手でこの顔なら、女がほっておかないだろうな…


しゃべりながらも、マンウォッチングに余念のない運転手は、
勝手な想像を働かせながら、また、ちらりとバックミラーを見た。


やがて、目をつぶったままの疲れたこのお客の様子に、
運転手もいつしか話をやめていた。


そうか…


ミンチョルの頭の中には、ある考えが浮かんでいた。

思い出の桜並木。
去年は見に行ったが、今年は、仕事が忙しく、ムリだろうと思っていた。

だが…
今年も見たい。

二人で一緒に。

明日の夜なら…

今、動き始めているプロジェクトに、何も問題がなければ、
大丈夫なはずだ。


ミンチョルは、気持ちが昂ぶってくるのを感じていた。



*   *   *




会社に戻ったミンチョルは、キチャンを呼ぶと、
プロジェクトの進み具合を確認した。


若手に任せたプロジェクトだ。
うまく進んで欲しい。

ミンチョルは、期待していた。


「明日、残業予定の人間は?」


「はい、今動いているプロジェクトのメンバーです」


「そうか…」


当たり前だ。
目の前の仕事を放りだして帰るような人間は、うちにはいない。
しかも、自分の力を試せる大きなチャンスだ。
そういう若い力で、ここまで這い上がってきた。


「実は、明日は、早めに帰りたいんだが…」
「やはり、彼らだけを残していくわけにはいかないな…」


ミンチョルは、ふぅっと息をはくと、額に手を当てて、しばらく考えていた。


「気を遣わせて、悪かったね」
「明日は、いいよ…」


明るくいうミンチョルの表情に、キチャンは、寂しさを感じた。

ミンチョルの傍らで、長く仕事をしてきた彼には、わかっていた。


こんなに長いつき合いの俺にさえも、
自分の心を見せない人なんだから…
そこが、マネできないかっこよさなんだよな…
ここは、俺がしっかりしないと…


「いえ、大丈夫です」
「私も残っていますし…」
「何かあれば、携帯にご連絡いたしますから」


キチャンが、答えた。


「だが…」


「社長…」
「たまには早く帰らないと…」
「お体が心配です」
「それに…」
「桜も見頃ですし」


「そうだな…」
「ん?」


キチャンのことばに、ミンチョルはすっかりのせられていた。


「あ…いえ…何でもありません」


キチャンは、ミンチョルの顔を見るとニヤッとした。

ミンチョルもやれやれという顔をしたが、
その目は優しく笑っていた。

キチャンは、こういうときの人間くさい彼が好きだった。

常に厳しく、仕事には完璧を求め、寸分の隙も許さない。

しかし、心の奥は、温かい、
いや、誰よりも熱いものを秘めている。

冷たい彼が、時折見せるこの人間らしい熱さが、
人を惹きつけてやまないのだとキチャンは、確信していた。


だから、この人に、ついて行こうと思うんだ…


キチャンは、心の中でうなづいていた。




To Be Continued…

・°*。・°*・°*。・°*・°*。・°*・°*。・°*・°*。・°*・


ほんとに、ほんとに、

お久なミンチョルでした~

別に、
ミンチョルに飽きたワケではないんですよ。
あはは…(爆)

っていうか、

もう、他所様で、さんざんご覧になっているだろうから、

私はいいかな…なんて、思ったのも事実です。


ただ、迷宮@ミンチョルのリクエストも
多くいただいていますし、

またまた、桜に絡めて、書きました。

出だしは、スローにイキます。

イヤン(*ノ∇)ゝなシーンがなくて、ごめん。(爆)

後のお楽しみってことで 






by leejewel | 2008-04-18 17:15 | 創作文 「美日々」
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