ひとたび離れ、 そして、また交差する男と女… ストーリーは、 現在から、過去へ…。 お待たせしました… (2)、イっちゃいます。 ☆ カン・ミンウなら、何でも桶!の方のみ、お読み下さい。 よろ♡ ちなみに… 「検事カン・ミンウ」True Love(1)は、こちらから (2) ユリは、オフィスの窓から、夜景を眺めていた。 ソウルの一角にあるインテリジェントビルから見る夜の街は、無機質な光を煌めかせている。 ユリは、ミンウに再会して以来、自分の気持ちがよくわからなくなっていた。 (もう終わらせたはずでは、なかったの…?) (離婚した彼のあんな姿を見て、同情したの…?) 半ば面白半分に、ミンウに近づいたつもりだった。 不幸になった昔の男を見て優越感に浸るはずが、それどころか彼の姿を見たとたん、自分の心の奥深くに眠らせていた想いが、呼び覚まされてしまった。 (私ったら…今さら…何を…) ユリは、冷静になろうとした。 でも、彼の唇に触れた時、体の奥から熱い何かが溶け出して、もう、どうにも逆らえない自分がいた。 今、再び、二人の運命が、交差しようとしている。 あの日、自分のひと言で、二人の運命は大きく違ってしまった。 (後悔してはいないわ…でも…) ユリは、失ったモノの大きさに、打ちのめされた。 あの日のことをまだ忘れていない自分に気づき、ユリは、大きくため息をついた。 ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ その日、ミンウとユリは、会った。 それぞれ検事、弁護士という道に進み、忙しい毎日を送っていたが、暇を見つけては会っていた。 飲みながら、ユリは夢を語り、ミンウは、仕事の面白さを話したり… そして… 柔らかなミンウの唇が、ユリの唇を弄び… ミンウは、ユリの白い肢体を歓びに震わせて、甘美な時を過ごしたり… ミンウは、その日、ある決心をしていた。 (ユリは、なんていうだろうか…) ユリは、淡い水色のワンピースの裾を上品に揺らしながら、待ち合わせのカフェに現れた。 座っていたミンウは、ドアからこちらへまっすぐに歩いてくるユリをじっと見ていた。 「ミンウ…待った?」 「ううん…今きたところだよ」 「嘘!」 「30分も前からいたんでしょ?」 「あなたは、そういう人だわ」 「ユリ…」 ミンウは、少し笑った。 「今日は、どこへ行きたい?」 「オレは、静かなところがいいな…」 「じゃ…水族館?」 「水族館?」 「まるで、子どもみたいだな…じゃ、そうしようか」 ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ 江南にあるアクアリウムは、家族連れやカップルで賑わっていた。 「水族館の中ってね…」 「なんだか、とても心が安らぐの…」 「小さい頃、父によくつれてきてもらったわ」 ユリが、うれしそうに言った。 「ふうん…」 「そういえば、二人できたの、初めてだな…」 天井までもある大きな水槽の前に、ユリが立っていた。 子どものように、ガラスにぴったりと手を当てて、魚たちを見ている。 上からわずかに差し込んだ光が、ときおり、魚の鱗をきらりと光らせていた。 ユリの水色のワンピースは、水槽の青い色に溶け込み、ミンウを不思議な気持ちにさせた。 「ユリ…」 「話があるんだ…」 ミンウが、言った。 すると続けて、ユリが、弾むような声で言った。 「ミンウ…私もなの!」 「あのね…」 「ニューヨークに研修に行くことが決まったの」 「え?」 ミンウは、一瞬、動揺した。 「新人弁護士の中では異例の抜擢なのよ」 「すごいでしょ?」 「私、行ってくる」 「もう、今からワクワクしちゃうわ…」 はしゃぐユリの様子を、ミンウは静かに見ていた。 「なんで、早くいわないんだ…」 ミンウは、少し怒ったように言った。 「だって…決定してからいおうと思って…」 「あなたは、喜んでくれないの?」 「ユリ…」 ミンウは、とまどっていた。 そして、何かを吹っ切るように、下を向いてフッと息を吐くと言った。 「うれしいにきまってるよ」 「おめでとう」 「よかったな…」 ミンウは、ニッと笑顔を作ると、ユリを抱きしめた。 彼女の鼓動がゆっくりと伝わってくる。 薄手のワンピースから、彼女の体温を感じる。 ミンウは、さっきいおうとした言葉を飲み込んだ。 「ちょっと…ミンウ」 「あなたの話って、何?」 腕をほどいたミンウは、微笑みながら言った。 「うん…」 「あとで話すよ…」 「それより、お祝いしなきゃな…」 ユリは、ミンウの一瞬見せた暗い表情が気になった。 しかし、今まさに、新しい扉の前に立った彼女に、それを気遣うほどの余裕はなかった。 ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ 昼食は、イタリアンにした。 「水族館に行くと、おいしそう!って思う私って、残酷よね?」 ペスカトーレをほおばるミンウに、ユリが言った。 「……」 答えないミンウにしびれを切らして、ユリが言う。 「そう思わない?」 「……」 「ねぇ…」 「そんなにほおばらなくても…いいんじゃない?」 「ん?」 「聞いてなかったの?」 「だから……」 「もう…いいわ…」 ユリがあきれたように、笑った。 ミンウは、食後のエスプレッソを飲み終わると、小さなカップを指先でつまむような手つきで、静かに置いた。 「ユリ…」 「出発はいつ?」 「1ヵ月後よ」 「期間は、どのくらい?」 「そうね…2年くらいかな…」 「2年か…長いな…」 「向こうが気に入って、帰ってこなかったりね…」 無邪気に笑うユリを、ミンウが、じっと見つめた。 「そうだね…」 「ミンウ…」 「先輩から聞いたわ」 「あなた、とっても優秀なんですってね…」 「ウワサになってるわ」 「……」 「ソウル地検の期待の…」 「ウフフ…」 「何だよ…」 「からかうなって…」 「そんなエリートさんとこうしていられるなんて…」 「私、幸せ…」 ユリが、悪戯っぽく笑った。 ミンウは、そんなユリを優しい眼差しで、見ていた。 ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ 店を出てからは、ユリの買い物に付き合った。 人混みにすっかり疲れた顔のミンウが、言った。 「静かな場所へ行かないか?」 ミンウとユリは、公園へとむかった。 芝生に座ると、風がユリの長い髪をなびかせた。 ほんのりと甘い香りがする。 ミンウは、そのまま大きくのびをして、仰向けに寝ころんだ。 「ミンウ…」 「実は…これから約束があって…」 ユリが、そんなミンウを見ながら、切り出した。 「事務所のみんなが、お祝いしてくれるっていうの…」 「え?」 「ああ…そうなんだ…」 「何時から?」 「6時から…」 「ねぇ…あなたも来ない?」 「オレは、遠慮しとくよ…」 ミンウは、笑いながら首を横に振った。 「じゃ、あまり時間がないな…」 ミンウは、起きあがると、ユリの顔を見つめた。 「ユリ…」 「オレのこと、好きか?」 「ミンウ…」 「いきなり、何を言うの?」 思わず吹き出しそうになったユリは、ミンウの真剣な表情に何かを感じ、口をつぐんだ。 「オレたち…」 ミンウが、真顔で言う。 それを制止するかのように、ユリが口を挟んだ。 「待って…ミンウ…」 「私たちの関係って…」 「恋人?」 「友達?」 「ユリ…」 「何が言いたいの?」 「私ね…」 「今の関係が好きなの…」 「夢にむかって歩き始めたばかりだし…」 「未来がどうなるかなんて、わからない…」 「だから…」 「お互いに…」 「束縛するのは、やめにしない?」 それを聞いたミンウの表情が、急に硬くなった。 「束縛?」 (キミは、オレのこと、そんな風に思っていたのか…) ユリの思いもよらない言葉に、ミンウは、混乱していた。 「オレは、そんなつもりじゃ…」 「好きなら一緒にいたいだろ?」 「それが、束縛だって?」 「オレが、いつキミを束縛した?」 「ミンウ…」 「私…そういうつもりじゃ…」 ミンウの激しい詰問口調に、ユリもとまどった。 「じゃ…どういうつもりなんだ?」 ミンウは、思わず大きな声を出した。 「だって…」 「あなたが…あんまり真剣な顔してるから…」 「怒鳴らなくたって、いいじゃない!」 ユリが、言い返した。 「あ…」 「すまない…」 ミンウは、大きく息を吐くと、目を瞑った。 彼は、彼女の言うことを、必死で理解しようとしていた。 キミを離したくない。 できれば、結婚したいと考えていた。 結婚は束縛だっていうのか? そして、キミは… オレの気持ちまで、束縛と感じるのか? ミンウは、ユリの顔をじっと見つめると、不意に視線をはずした。 そして、フッと息を吐くと、口をギュッと結んだ。 「わかったよ…」 「キミは、その方がいいんだね?」 「ミンウ…私…」 そう言いかけたユリを、たまらずミンウが抱きしめた。 離したくない。 どこへも行かせたくない。 そうだ。 偉そうなことを言っても、 結局、オレはユリを束縛したいだけなのかもしれない。 ミンウは、彼女を縛りつけたい劣情と、見守りたい愛情の狭間で揺れていた。 ユリの額に優しくキスをすると、そのままゆっくりと鼻梁を伝い、唇全体を押し包んだ。 そして、左右に動かしながら、吸い上げる。 ユリの薄手のワンピースの体が、ピッタリとミンウの体に密着する。 ミンウの舌が、ユリの舌を絡めると、ユリもそれに応えていた。 ユリの両頬を、ミンウの手がそっと包む。 ユリの頬を涙が伝った。 (私…どうして涙が出るのかしら…) このまま、彼の温かい腕の中に、 いつまでもいたい。 そうしたいけど…。 ユリの心も、揺れていた。 (ユリ…泣いているのか…) ミンウの閉じた瞼に、うっすらと涙がにじんだ。 二人は、いつまでも、お互いを貪るような熱いキスを続けた。 別れを予感し、まるで、離れまいとしているかのように…。 ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ 「オレ…見送りに行かないから…」 別れ際に、ミンウが言った。 「うん…わかってる」 「頑張ってこいよ…」 「ええ…頑張るわ…」 「あなたも、元気でね」 ミンウは、ユリをじっと見つめた。 「ユリ…」 「え?何?」 「いや…なんでもない…」 「じゃ…」 ミンウは微笑むと、くるりと背を向け、去っていった。 To Be Continued… ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆
みな様に、すぐUPできるといっておきながら、 たいへん、お待たせしてしまいました。 ちょこっと言い訳です。 先週、風邪を引いてしまい…絶不調。 おまけに、諸事情の追い打ちを喰らい…。 ↑ 出た!しょじじょう… これも、アリーナ目指して、 すっかり有頂天なJewelへの天罰かと…。(っд`) そして…極めつけは、チャンイ♡ ↑ 意味不明(爆) さて、ストーリーは、(3)に続きます♡ 引きずりながらも、何気に、さくっと別れた二人… この後、ますます二人の運命は変わっていきます。 しかし、長いぞ…(っд`)
by leejewel
| 2007-11-02 03:33
| 創作文「HERO」
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