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A desire in the desert 11




お待たせしました。

迷宮@チャンイ

11話です。


いよいよこのストーリーも
佳境に入ったというか…


びょん界は
みんちょる熱に
再沸騰かもしれませんが…(笑)


迷宮チャンイも忘れないで~(爆)



※追加修正あるかもしれません。
お許しください。



では


「A desire in the desert 11」
(砂漠の欲望 11)

イキます。


ちなみに前回のお話
「A desire in the desert 10」(砂漠の欲望 10)は、こちらから

創作文索引カテからも遡れます。→

とっても長いお話なので
復習なさりたい方はどうぞ~





・・・ ◆ ・・・



A desire in the desert 11_c0096259_2582337.jpg






A desire in the desert


11



その日、朝早くから、ドウォンは出かけていた。

元狩人であるドウォンは、今でも狩りに行って、食料を調達してくることも多かった。

ソンイが、ボーっと窓の外を見ているジョンウォンに声をかける。


「あんたに頼みたいんだけど…」
「薪を割ってよ」


「ああ…」


チャンイへの復讐を誓って、ここへ来たものの、チャンイの手掛かりを知る肝心のドウォンは、一向にに出かけようともしない。

ジョンウォンは、歯がゆい思いをしていた。


今頃…ジョンアは…


ジョンアのことを考えると、いても立ってもいられないが、時期を待てというドウォンの言うことも一理ある。


相手は、あのパク・チャンイだ。

仕方ないか…


ジョンウォンは、復讐に逸る心を懸命に抑えていた。



◆ ◆ ◆




ジョンウォンが、外で薪を割っているところへ、一人の男が馬に揺られてやってきた。

薪割りの斧で身構え、警戒するジョンウォンに、男が声をかけた。


「ちょっと…あんた…」


長身の男は、馬上からジョンウォンをじっと見て言った。


「ジョンアを知ってるか?」


いきなり、ジョンアの名前を出されたジョンウォンは、驚いた。


「な、なぜ…その名前を?」


「ああ…やっぱり、あんたがそうだな」
「ジョンアの兄さんだろう?」


男は、馬からひょいと降りた。


「お前!」
「ジョンアを知ってるのか?」
「お、お前は…一体…」


声を上ずらせながら、ジョンウォンは男に尋ねる。


「俺は、インソンだ。よろしくな」


インソンは、妙に人懐こそうな顔で、ジョンウォンに笑いかけた。


「これでも、馬賊の端くれさ…」
「ジョンアに頼まれて、あんたを探してたんだ」


ジョンウォンは、驚きながら、インソンに尋ねる。


「ジョ、ジョンアに頼まれた?」
「あいつは…ジョンアは、今どこにいるんだ?教えてくれ!」
「あんた、知ってるんだろう?」


「ああ、知ってるとも。ジョンアとは、あんたと会わせるって約束をしたんだ」


「ジョンアに…ジョンアのいる場所へ、案内してくれ!」


ジョンウォンが、インソンに取り縋るようにして懇願する。


「ちょっと待てよ…」
「それには、準備ってものが…」
「あんたには、ここで待っててもらいたいんだ」


インソンの言葉に、ジョンウォンは、顔を強張らせた。


「なんで…どいつもこいつも、僕に待てというんだ?」
「もう、待てない!待てないんだ…」


ジョンウォンは、ぶつぶつと呟いたかと思うと、インソンに向かって言った。


「いや…あんたを信用できない」
「まず、ジョンアのいる場所へ案内しろ!」


「ったく…仕方ないな…」
「ただし、助け出すのは、隙を狙わないとだめなんだ」
「わかってるな?」


ジョンウォンは、部屋の中にいるソンイに、薪を割り終えたことを告げ、知り合いと少し出かけてきたいので馬を貸してほしいと頼んだ。

ソンイは、訝しそうに、見知らぬ男と連れだっていくジョンウォンの背中を見送った。



しばらくして、ドウォンが帰ってきた。


「帰ったぞ!ソンイ!ほぉら…」


ドウォンは、大きな獲物を高く上げて、ソンイに見せた。


「わぁ!すごい!」


すぐに、ジョンウォンがいないことに気付いたドウォンは、ソンイに聞いた。


「おい…あいつは?」


「ああ…ちょっと出かけてくるって、馬で出て行った」
「知り合いが訪ねてきたみたいだよ」


「知り合い?」
「最初に一緒に来たあいつの友達か?」


「ううん。違うよ」
「背が高くて…ちょっと薄汚れてはいたけれど…」


ソンイは、男のすっきりとした顔立ちを思い出していた。


「そうか…」


ドウォンは窓の外を見ながら、何かを考えていた。



◆ ◆ ◆




インソンとジョンウォンは、ミランの店の前に来た。


昼間なら、チャンイも来ないし、見張りの交代の時間だと言えば、すんなり部屋に入れるだろう。

今、店にいるやつらは、昼間っから酒浸りの連中ばかりだ。

ミランの隙をつけば、案外、簡単にジョンアを連れ出せるかもしれないな。


インソンは、予想外にうまくいきそうな展開に、ニヤついた。

インソンは、ジョンウォンを連れて、何食わぬ顔をして、店の中に入って行く。

ミランが、じろっとインソンたちを一瞥した。

インソンは、黙ったまま、ジョンウォンを引き連れて、階段を上がっていく。


「ちょっと、お待ちよ…」


ミランが、低い声で声をかけた。

インソンが、ビクッとして振り向いた。


「インソン…しばらく見なかったねぇ…」
「そっちは、新顔だけど…」


ミランにじっと見つめられ、ジョンウォンは、目を伏せた。

インソンは、平静を装って答える。


「ああ…俺の弟分なんだ」
「こいつ、馬賊になりたいんだってさ」


「へぇ~!」


ミランが、急に高い声を出した。


「結構、かわいい顔してるじゃないか!」
「本気で馬賊なんかになりたいのかい?」


「あ、ああ…」


ジョンウォンが、小さく返事をする。


「ったく、どいつもこいつも、なんで馬賊なんかに…」
「あとで、ちょっとお寄りよ…一杯、ごちそうするわ…」
「あんた、あたしの好みだからさ…」


ミランの妖艶な目つきに、圧倒されたジョンウォンは、黙り込んだまま、階段を上がっていく。

彼の少し左足をひきずるような歩き方を、ミランは見逃さなかった。


インソンの奴…

また、とんでもないことをしでかしたもんだね。

あの男…たぶん、ジョンアの…

フフッ…


ミランが、鼻で笑った。


こんなことが、チャンイにわかったら、命はないだろうに…

さて、ジョンアに万一のことがあったら、元の子もないからね。

チャンイが来る前になんとかしないと…

だけど、今、店の中で、ゴロゴロしてるヤツは、使いもんになるかねぇ。

この際、仕方ないか…


ミランは、グラスの酒をグイッとあおった。



◆ ◆ ◆




インソンが、見張りに休憩をとらせて、ジョンアの部屋のドアをあける。

振り向いたジョンアは、黒地に艶やかな花模様のドレスを着ていた。


「インソン!」


インソンが、あわててドアを閉めて、驚いているジョンアに微笑んだ。


「ジョンア…変わりは、なかったか?」
「俺、お前のことが心配で…」
「ジョンア、お前との約束だからな…連れてきたよ」


インソンの言葉に、ジョンアの大きな瞳がみるみる涙でいっぱいになる。

彼の後ろにいたジョンウォンが、ジョンアの目の前に現れた。


「に…兄さん!」


「ジョンア!」


ジョンウォンは、微笑んで、両手を広げた。

その腕の中にまっすぐに飛び込んでいくジョンア。

大きな瞳からあふれる涙が、ジョンウォンの胸を濡らしている。


「兄さん!生きてたのね!」


ジョンウォンは、ジョンアの頬を両手で包み、潤んだ目で見つめた。


「ああ…」
「ちゃんと顔を見せて…」


ジョンア…

つらかっただろう?


今まで身につけたこともないようなドレスに身を包んだジョンア。

黒いドレスが、前より白く透き通った肌を引き立てている。


こんな場所で、お前はどんな暮らしを…


ジョンウォンは、胸が締め付けられた。


毎日、泣き暮らしていたんだろう?


瞼が、泣き腫らしたように、薄紅くぷっくりと腫れている。


「髪、のびたな…」


ジョンウォンは、ジョンアの髪を撫でながら、泣きそうになるのを必死で我慢していた。

涙で潤んだ大きな瞳には、ジョンウォンが映っている。

ジョンウォンは、ジョンアを強く抱きしめた。

すると、腕の中のジョンアが、急に真顔になった。


「兄さん…」
「ここにいたら、危ないわ」
「あの人が…チャンイが来る」


「だから、助けに来たんじゃないか!」
「ジョンア…一緒に来るんだ」


ジョンウォンの言葉に、ジョンアが驚いた顔をした。


ここから出られる!

兄さんとまた一緒に暮らせる…

でも、そんなにうまくいくの?

あのチャンイから、逃げられるの?


ジョンアは、暗い目をして、首を横に振った。


「ダメよ、私は、一緒には行けない」


「なぜだ?」


ジョンウォンが、驚いて聞き返す。

インソンもあわてて、ジョンアに尋ねた。


「ど、どうしたっていうんだ?ジョンア…」


二人を前に、ジョンアは、静かに言った。


「チャンイからは、逃げられないわ。私、よくわかったの」
「兄さん、私は、もう昔の私じゃない…」


私、チャンイを愛しているの。

もう、兄さんの元へは、帰れないわ。

兄さんをひどい目に合わせた男を愛してしまった汚れた女だから。

それに…

あの人から、きっと離れられない…



「何を言ってるんだ!ジョンア、落ち着いて考えろよ」


インソンが苛立って声を荒げると、今度は、ジョンウォンが諭すように言った。


「ジョンア…お前を取り戻すことだけを考えて、僕は、ここまできたんだ」
「お前をあんなヤツに渡すくらいなら。僕は…」
「お前をこんな所へ置いておけない!一緒にウチに帰ろう」


ジョンウォンが、ジョンアの肩に手を置いたとき、外で、かすかに馬のいななきがきこえた。


「しっ!」


ジョンアは、警戒して耳を澄ました。


「チャンイの馬かも…」


「まさか…客が来たんだろう?」
「それより、ジョンア…」


インソンが、真っすぐにジョンアを見ている。


「俺との約束を忘れたのか?」
「あんたの兄貴を連れてきたら、俺のモノになると言ったろう?」


ジョンウォンが驚いて、インソンを見る。


「それは…」


ジョンアは、外の様子を気にしながら、インソンの顔を見た。


「わかってるわ…でも…」


「ジョンア…好きなんだ…一緒に逃げよう」


インソンの真剣な表情に、ジョンアは動揺した。


約束を守ってくれた彼の言うとおりにするべきなのよ。

兄さんとこうして会えたのに、何を今さら、迷うの?


インソンは、ジョンアの両腕を鷲掴みにすると、自分の方へ無理やり引き寄せた。


「ジョンア…あんたは、俺のもんだ!」


「…インソン」


インソンが荒々しくジョンアの唇を奪う。


「んんんっ…い…やっ…やめ…んんんっ…」


彼の執拗な口づけに抗えず、ジョンアの体から力が抜けていく。

インソンが、ジョンアを抱きしめた。

その様子を、ジョンウォンは、茫然と眺めている。



その時、階段をゆっくりと上がってくる音がした。

ブーツの音に混ざる鎖の音。

ジョンアは、我に返り、インソンを突き放した。


「チャンイよ…あの人が来たんだわ」


ジョンアが、低い声で言った。





to be continued…



ちょこっとレビューです。

実は、一気にUPするつもりだったんですが
長すぎて、トピに入りきらず
やむなく二分割しました。

ドキドキの続きは
現在、仕上げ中。


さて、今回
チャンイと束の間、心を通わせたジョンアに
新たな展開です。

インソンの当たって砕けろ!的な救出作戦
うまくいくはずないだろう~~~

と苦笑ですが…

ジョンア兄さんの気持ちも
わからないでもない。


それぞれの思惑が絡み合って
思うようにいかないのが
人生ってもんです。(笑)


あの時こうしていたら…
と後悔しても

いったん狂い出した歯車は
もう止められない…


とにかく
ジョンウォンとジョンア再会できてよかった~

って喜んだのも束の間…

なんだかヤバい雰囲気です。 



次回をお楽しみに。



by leejewel | 2010-02-27 12:26 | 創作文「チャンイ」
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