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A desire in the desert 8




お待たせしました。

迷宮@チャンイ

8話です。


ストームシャドウ様に
もっと斬って~状態になりながら…(爆)

熱にも負けずに

じゅえる…

チャンイ描いてます。あはは。


追加修正あるかもしれません。
お許しください。



では


「A desire in the desert 8」
(砂漠の欲望 8)

イキます。


ちなみに…
「A desire in the desert 7」(砂漠の欲望 7)は、こちらから

長くなっておりますので、復習したい方は、順に遡ってくださいませ。




・・・ ◆ ・・・


A desire in the desert 8_c0096259_1228044.jpg






A desire in the desert






雨が激しく窓ガラスを打ち付け、遠くで雷鳴が響いている。

チャンイは、グラスにそそいだ琥珀色の酒をグイッとあおった。

素肌に真っ赤なブランケットをはおり、ベッドに座ったまま、目を閉じる。


こんな夜は…

いつも嫌なことを思い出す。

少年の頃の苦い思い出。

駆け出しのチンピラの頃に受けた屈辱。

そして…テグ。

忘れようとしても忘れられない傷痕。

いや、片時だって、忘れるもんか…


熱くどうしようもない苛立ちに、ブランケットに包まっていたチャンイの体が、ガタガタと震え出した。

自分にとって許しがたい屈辱が、ものすごい怒りとなって、体から吹き出そうとする。

屈辱を受けたという事実が、恐怖にも似た感情となって襲ってくる。


バカな…

このオレが、恐れなど感じるはずがないじゃないか。


ふと、あの眼を思い出す。

憎しみと悲しみに満ちたジョンアの大きな瞳。

すべてを撥ねつけようとする激しい怒りの眼。


そうだ、あの眼だ。

オレに挑みかかるあの眼こそ、俺の欲しかったもの。

その瞬間、まっすぐにチャンイを見つめるジョンアの潤んだ大きな瞳が、脳裏をかすめた。


ジョンア…


チャンイは一瞬、揺れる自分を感じた。


フッ…ばかばかしい…


チャンイは、打ち消すように冷笑すると立ち上がり、今度は、琥珀色の酒瓶を口にくわえ、ゴクゴクと喉に流し込んだ。

わずかに漏れた酒が、口の端から喉を伝っていく。

それを手の甲で拭いながら、チャンイは暗い眼で遠くを見ていた。


なぜ…


なぜ、こんなにもジョンアにこだわるのか、チャンイ自身にもわからなかった。


いっそひと思いに…

殺してしまえばいいものを…

いや…まだだ…

まだ…この手から…

離せない…


時折、鋭く光る稲妻が、チャンイの褐色の裸身を映し出していた。





ジョンアは、体を丸めるようにして、ベッドに横たわっている。

窓ガラスを激しく打つ雨音に、心がざわつく。

ぴかっと光る稲光に、ギュッと身を縮ませた。

瞳を閉じたジョンアは、チャンイが残していった懐中時計を胸に抱いていた。


逢いたい…

逢えば、地獄に落とされるような思いをするのはわかっている。

でも…

逢いたい。


懐中時計をいとおしむように両手の中に包み込む。

コチコチとなる音をききながら、彼女は、チャンイの鼓動を思い出そうとしていた。

荒々しい獣の行為の中で、翻弄されながら、少しずつ感じた彼の鼓動。

ジョンアの気持ちはもう止められないほどにあふれ出していた。

初めて男を愛した女の情念は、熱く燃えあがり、行き場のない情熱がじりじりとジョンアの胸を焦がした。


私と兄さんの運命を狂わせたどんなに憎んでも飽き足らない男なのに…

あの暗い眼…

どれだけの地獄を見てきたのだろう。

あの人の心が知りたくなってしまう。


そして、心が求める以上に、ジョンアの体が、チャンイを求めていた。


あの人を感じたい…


チャンイに責められ、教え込まれた彼女の体はどうしようもなく疼いていた。

激しい愛撫、愛なんて微塵も感じさせない行為でも、今、欲しくてたまらない。


これが、私の本性なの?


ジョンアは自分の体をぎゅっと抱きしめ、今、いやというほど自分の中の獣の存在を思い知らされていた。



◆ ◆ ◆




「そういえば…」

ミランは、店のカウンターに肘をついて、顎を突きだし、酔っ払った男たちを眺めながら呟いた。


「チャンイのやつ、もうずいぶんとご無沙汰だけど…」
「でかい仕事にでも出かけたのかねぇ…」


おかげでジョンアときたら…

フンッ…なんであたしが、心配しなきゃなんないのさ…

だいたいあの男が物好きなことをするから、どうも調子が狂っちまう。

もうそろそろ、あの娘も潮時かもしれないねぇ。


ミランは、目の前のグラスを細い指でつまみ上げ、揺れる液体を通して、遠くを見つめている。


あの娘なら…もしかしたら……

なんて思ったあたしが、甘かったわね。

あいつはそんな男じゃない。

フッ…

だから、いいんだけどね。



でも…

今回ばかりは、チャンイのやつ、なんだか歯切れが悪いわね。

さぁて…

そろそろ…

あたしの出番かしらね…


ミランは、グラスの酒をクイっと飲むと、赤い舌で唇をぺろりと舐めた。



◆ ◆ ◆




ミランが部屋に入ると、ジョンアは、ベッドに膝を抱えて座っていた。

顔をあげて、ミランの方を大きな目でじっと見る。


「ジョンア…」
「少しは何か食べないと、ほんとに死んじまうよ…」


前よりもっと食が細くなったジョンアは、見た目にもやつれて見えた。

もともと白い肌は、さらに青白く透き通り、生気がなく儚げだった。


「食べたくないの…」

「あの…私…」


ジョンアの大きい眼から、みるみる涙があふれてくる。


「どうしちまったんだい?ったく、世話の焼ける娘(こ)だよ…」


ブツブツいいながら、抜け目なくジョンアの様子を観察する。

彼女のただならぬ雰囲気に、ミランは確信した。


あんた、まさか…チャンイのこと…


ミランは、ふぅっとため息をつくと言った。


「バカな娘(こ)だよ…こんなひどい目にあわされてるってのに。それに、殺されるかもしれないんだよ…」


さすがのミランでさえ、ジョンアの痛々しさに感じるものがあった。

思わず、ジョンアの肩を抱き寄せる。

髪を撫でながら、まじまじとジョンアを見るミランは、彼女の肌の艶めかしさに驚きを隠せなかった。


この娘(コ)…

ずいぶんイイ体になったねぇ…


ミランは、ジョンアに微笑みかけながら、猫なで声を出した。


「そうだ…少し、下に降りてきて気晴らしでもしないかい?」
「なあに…あんたをチャンイの許可なしに店に出しゃしないよ…」
「ちょっと、男たちと酒でも飲んだら、気分も晴れるんじゃないかと思ってね…」
「どうだい?」


「……」


強く勧められるまま、部屋を出て下に降りてきたジョンアをミランが迎えた。

着替えて、薄く化粧をしたジョンアは、初々しい美しさを放っていた。

それでいて、どこか妖艶で、欲望をくすぐる女の香りを肌にまとわりつかせている。

男たちの前に連れてこられて、萎縮しているジョンアに男たちのいやらしい視線が一斉に集中した。


「へぇ!こりゃ、とびきりの娘じゃないか!」


「ミラン!どこに隠してたんだよ!」


舌舐めずりをしながら、一人の男が言った。


「この娘は、まだ売りものじゃないんだよ!」
「へんな気起こしたら、チャンイに殺られるよ!」


「なぁんだ…チャンイのか…」


男たちは、口々に、ジョンアに手を出して殺されたあの大男の話をし始めた。


「まぁいいさ…こっちにきて酒でも飲もうぜ」


先ほどの男は、それでも、ジョンアに夢中になってしまったようだった。


「あんた…まさか…飲んだことないんじゃ…」
「おもしれぇ!じゃ、俺が飲ませてやるよ…」


おどおどしているジョンアを隣に座らせると、グラスを握らせた。

男は、舐めるようにジョンアを見つめている。


「しっかし…そそるぜ…」
「もったいねぇな…」
「勃っちまうよ…」


男は、下卑た言葉でジョンアを誉めながら、優しい声で、ジョンアに話しかける。


「さぁ、飲んでみな…気分良くなるぜ」


ジョンアの薄ピンク色の唇が開き、グラスに口をつけた。

白く細い喉がコクンと動く。


「ぅっ…けほっ」


初めて口にした酒に、ジョンアはむせた。


「ほら、もっと飲んで、イヤなことなんざ、みんな忘れちまいなっ!」


いやいやをするジョンアは、顎を掴まれて口を開かされ、酒が流し込まれる。


ああ…喉が焼けるように熱い…


頭がぼうっとして、体がふわふわと軽くなり、思わず笑い出したくなる。

ジョンアの体に、じわりと酒が染み込んでいく。


「さぁ、こっちにこい!俺がかわいがってやる…」


今度は、別の男が、我慢できないとばかりに立ちあがり、ジョンアの華奢な腰を掴まえて、自分の膝の上にちょこんと座らせた。

後ろから抱きすくめられ、男のざらざらとした唇が、ジョンアの首筋を這う。


「あンッ!」


ジョンアが、思わず仰け反った。


「ははん…やっぱりな。こいつは、男を銜え込んだら、離さない体だぜ…」


汗臭い男の体臭が、鼻をくすぐる。

ジョンアは、抵抗しようとしたが、力が入らない。

男の大きな手が乱暴に体中を撫で回し、ドレスの開いた胸元に、手を突っ込んだ。


「っ…いやっ!」


ジョンアの理性を、酒が麻痺させたのか、だんだん、もうどうでもいいという気にさえなってくる。

弛緩した理性に追い打ちをかけるように、チャンイから教え込まれた肉体の欲望がむくむくと膨れ上がってきていた。


――あの人が欲しい。


ジョンアは、体の奥から、ゆらゆらと燃え上がってくる自分の哀しい女の性(さが)を目の当たりにして呆然とした。

男の執拗な愛撫が、彼女の内なる獣を呼び覚まし、もう抗いきれないと観念したジョンアは、自ら、かろうじて残っている理性をも振り払うかのように、頭を振った。


あの人じゃないなら、みんな同じ。

誰でもいい…

私、男に抱かれたいんだわ…

あの人を忘れさせて…


ジョンアは、自暴自棄というよりは、自分の本性を暴きだしたい、こんな自分を貶めてみたいという思いにかられていた。


いっそ…堕ちるとこまで堕ちてしまえばいい…


心の中のもうひとりの彼女が囁いた。

ジョンアは、男にしなだれかかるようにして目をつぶった。

ジョンアの体から甘酸っぱい雌の匂いが立ち上ぼり、艶めかしさがひときわ濃くなる。


「ぁんっ…」


小さく喘ぎながら、男の上に跨り体をこすりつけ、誘うように腰をくねらせるジョンアに、男は腰を突き上げ始めた。


「うおぅっ…こいつは…たまらねぇな…」


男は、大喜びでジョンアを抱き上げた。

その時、一人の男が店に飛び込んできた。


「やめろっ!」


ジョンアを抱えた男を殴り倒し、彼女を抱き上げて、すごい勢いで二階の部屋に連れ去った。


「誰だ?ありゃ…」


男たちは、突然の出来事に、呆然としていた。


「たしか…あいつはチャンイの手下だろ?」


「へぇ~ボスの女がそんなに大事なのか?」


「いや、ありゃ、惚れてるな」


「ボスの女に横恋慕か…」


「よりによってチャンイだぜ…」


誰かが、低い声で呟いた。


「おい!誰か、チャンイに教えてやんなっ!うかうかしてると、子分に寝とられるぜってな…」


ジョンアを横取りされたさっきの男が、立ち上がりながら、苦々しく言った。


「チッ…もう少しでうまくいくとこだったのに…」
「とんだ邪魔がはいったもんだ…」

(それにしても…インソンがねぇ…)


チャンイのいない間に、ジョンアを店に出してしまおうとした姦計を、思いもかけず阻まれたミランは、柱にもたれながら、意味ありげに目を細めた。



◆ ◆ ◆




部屋に入り、ぐったりしているジョンアをベッドにおろすと、インソンは、きいた。


「ジョンア!何があったんだ?ボスの命令か?」


ジョンアは、だるそうに首を横に振った。


「そうか…ミランのやつだな?なんて性悪な女なんだ…」


ジョンアは、水を飲んでようやく正気を取り戻したのか、インソンの顔を見た。


「放っておいてくれたらよかったのに…」


「ジョンア…どうしたんだ?」


覗きこむインソンに、ジョンアが吐き捨てるように言った。


「もうどうでもよくなったの…私」
「ここにいる女の人たちと同じように、その日その日を、面白おかしく生きていくのもいいかなって…」


「ジョンア…あんたらしくないな…」
「あんたの兄さんのこと、もう少しでわかりそうなんだ。どうやら、生きてるらしい」
「会いたいだろ?」


「生きてる?」


ジョンアの大きな瞳が、輝いた。


「兄さん…生きてるのね?」


「ああ…どうやら、兄さんもあんたのことを探してるらしい」


「会いたい…会いたいわ!」


輝きだすジョンアの大きな瞳を見て、インソンは抑えられなくなったように抱き締めた。


「ああ…ジョンア…好きだ…」


薄化粧をしたジョンアの頬は、酒のせいで紅潮し、胸まで赤みを帯びている。

ジョンアの濡れた唇に、インソンは、思わず唇を重ねた。

ざらっとした感触に、ジョンアはビクンと体を震わせた。


「ンっ!」


突然、ジョンアの大きな瞳からぽろぽろと涙がこぼれた。


違う…

私の知っている唇は…


チャンイの滑らかな唇の感触が蘇る。

心が震えるような初めての口づけ。


やっぱり…忘れられない。


ジョンアの涙に気づき、驚いた顔でインソンが、唇を離した。


「どうした?」
「兄さんのこと思い出したんだな…」
「俺が必ず会わせてやるよ…」
「そしたら…ジョンア…俺のものになってくれるか?」


覗きこむインソンを見つめ返すジョンアの耳の奥に、チャンイの声が蘇る。


――お前は、オレのものだ…


私は、永遠にあの人のものなの。

今は、心までも…


「チャンイからは逃げられないわ…」


ジョンアが、ぼそりと呟く。


「そういえば、ボスは、ここへ、しばらく来てないみたいだな」


「ねぇ…チャンイは、どうしているの?」


「ボスのことは、俺も知らない…」
「ただ…ボスがもう来ないのなら…」


口ごもるインソンにジョンアは、きいた。


「私…もう…殺されるのね?」


暗い顔のジョンアの肩を抱いて、インソンが言った。


「そうきまったわけじゃないさ…」
「店に出ることになるか…」
「いや…そんなことさせない!」
「兄さんが見つかったら…一緒に逃げよう…」


少しの沈黙の後、ジョンアは、インソンに静かに答えた。


「兄さんに会えるなら…」


ジョンアの脳裏にジョンウォンの顔が浮かぶ。


「あなたのいうとおりにするわ」
「でも…今はまだ…待ってほしいの…」


「ああ…わかってる」
「俺、あんたのこと、大事に思ってる」
「こんな気持ちになったの…初めてなんだ」
「絶対、兄さんを探してきてやるから…」


優しいまなざしのインソンを、ジョンアは冷静に見つめた。


この人は、いい人…


罪悪感が、ジョンアの心に重くのしかかる。


こんな風に彼をだましている私は、きっと罰を受けるわ…

でも…

それでもいい。

どんなことをしても、兄さんに会いたいの。


それに、今は、あの人に…

チャンイに会いたくてたまらない。

たとえ

殺されるとわかっていても…





インソンの腕の中で、ジョンアは、そっと瞳を閉じた。





to be continued…



ちょこっとレビューです。


今回、ミランさんの登場でしたが…

実に、悪い女ですね~~~

でも、好きです。

はぁ?(爆)


チャンイとどういう関係なんでしょうね~


インソン…

イイ人ですね~~~

かわいそーなくらい。(笑)

彼も、ジョンアちゃんとのことが

そろそろチャンイにバレそうですね。

どんな展開なの~?

じゅえる…

こわい…(笑)


で、ジョンアちゃん!

兄さんとチャンイの

どっちかにしなさいよっ!(爆)



さて

GBWプレミアも迫ってまいりましたね。

公開までに、なんとか終わらせたいと思いましたが

完全ムリです。

ごめん。^^


公開中に連載中っていうのもいいかなと…(苦笑)


次回をお楽しみに。



by leejewel | 2009-08-14 00:15 | 創作文「チャンイ」
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