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「微熱」





「美しき日々」その後のストーリーです。

ミンチョルとヨンス、こんな夜もあるかもしれない…。

愛しても愛しても…愛したりない二人の夜を、
ちょっとエロティックに描いてみました。

R指定と思われますので、お気をつけ下さい。







     *     *     *     *     *


ヨンスが朝の片づけを済ませ、洗濯物を干していると、電話が鳴った。

(誰かしら?)

ヨンスが電話に出ると、キチャンからだった。

「おはようございます。社長には、いうなといわれたんですが、一応連絡をと思いまして…。実は、さきほど、社長が外出先で具合が悪くなられて、病院に運ばれたそうです。また、様子がわかり次第、ご連絡いたしますが…」

キチャンの声は、落ち着いていた。
しかし、ヨンスに不安を与えるには十分だった。
ビクトリー時代から、ずっと側にいるキチャンは、ミンチョルが事業を興し、ようやく軌道に乗った今でも、ミンチョルへの気遣いを忘れず働いてくれている。
そんな彼からの連絡だったからだ。

ヨンスは、受話器を持つ手の震えを押さえながら、尋ねた。

「病院はどこですか?」

ヨンスの頭の中は真っ白だった。
今まで、病気とは無縁だったミンチョルが入院?
悪い病気だったらどうしよう?
とにかく、病院に行かなければ…。
不安な気持ちを押さえながら、支度をし、病院へ急いだ。
ヨンスの心臓は、早鐘のように鳴っていた。

病室へそっと入った。
4人部屋だったが、部屋の患者はみな出かけているようだった。

ベッドのカーテンをそっと開けると、静かに目を閉じて横たわっているミンチョルがいた。
額にかかるさらりとした前髪。
ピッタリと閉じられた瞼。
ツンと上をむいた鼻。
血の気のない顔が、心なしか、やつれて見えた。
しかし、紛れもなく、愛しい姿がそこにあった。

(あなた…)

顔を近づけ、そっとのぞき込むと、ミンチョルは、静かに寝息を立てている。
ヨンスが離れようとした瞬間、ミンチョルの手が、ヨンスの手首をギュッと掴んだ。

「…来ると思ったよ!」

パチッと目を開けて、優しく見つめるミンチョルがいた。

「あなた!」

「知らせるなといったのに…。まったく、しょうがないな…」

「ううん、知らせてもらってよかったわ。私、心配で心配で…」

ミンチョルは、涙をいっぱい溜めているヨンスの睫に手を伸ばすと、指先でそっと拭った。

「具合は、どうなの?」

「大したことないんだ…風邪らしい。熱があるんだ」

そういえば、今朝は、潤んだ目をしていた。
そんな夫の体も気遣ってやれなかったなんてと、ヨンスは思った。

「熱、あるだろう?ほら…」

ミンチョルに促されて、ヨンスは額にそっと手をあてた。
そのとき、ミンチョルは、寝たまま、ヨンスを自分の方にぐいっと引き寄せた。
ミンチョルに覆い被さるような姿勢のまま、ヨンスは抱きしめられた。

「あ…あなた…他人(ひと)がくるわ…」

ミンチョルの腕の中で、ヨンスは、安堵感を覚えていた。
ミンチョルは甘えるように、ヨンスの肩越しに顎をのせて、笑いながらいった。

「恥ずかしい?」
「フフ…それに、風邪が、うつるといけないな…」


     *     *     *     *     *


担当医の説明では、帰宅してもいいが、安静にするようにとのことだった。

ヨンスが支払い手続きをしている間、看護婦が、親しげにミンチョルに話しかけてきた。

「入院されないんですね。残念だわ…。あら、私ったら…」

ヨンスは、軽口をたたく看護婦にも腹が立ったが、笑顔で応対するミンチョルにも、ちょっとムッとした。

「あなた、帰りましょう」

看護婦をジロッと見てから、ヨンスは、さっさと出口へ歩いていった。
ミンチョルは、そんなヨンスを見て、ニヤっと笑った。


家に帰ってみると、ミンチョルは、やはり具合が悪そうだった。

「あなた、ゆっくり休んだ方がいいわ…」

「うん、そうするよ」

薬が効いたせいか、寝室のミンチョルは、ずっと眠り続けていた。

ヨンスは、一通り家事を済ませて、寝室に入った。
ヨンスは、ミンチョルのことが気になって、なかなか寝つけなかった。
傍らで、ぐっすり寝ているミンチョルの額にそっと触れてみる。

(熱は下がったみたい…)

今度は、熱で乾いた唇を指で、そっとなぞってみた。

(この唇にいつも…愛されているのね…)

すると、ミンチョルが薄く目を開けた。

「あ、ごめんなさい。起こしちゃったわね」

「ん…喉が渇いた…」

「待って。今、お水を持ってくるから…」

枕をクッションにして、半身起きあがり、ゴクゴクと喉を鳴らして、グラスの水を飲み干すミンチョルをヨンスは、じっと見つめた。

「ああ…うまかった…」
「キミは、寝てなかったの?」

口を手の甲で軽く拭いながら、ミンチョルがきいた。

「ええ…」

ヨンスは、心配をかけないように明るく答えた。

「眠れなかったの?」
「心配で?」
「それとも…寂しくて?」

ミンチョルは、今度は、片方の眉毛をピクッとあげて、悪戯っぽい目をしてきいた。

「もう…あなたったら!心配にきまってるでしょっ!」

さすがのヨンスも、ミンチョルのいう意味がわかったのか、顔を赤くして答えたが、すぐに真顔になった。

「汗をかいたでしょう?着替えましょう」

「そうだね…」

ミンチョルは、パジャマ代わりにしているTシャツをバッと脱いだ。

ミンチョルの微かな汗の匂いがする。
ヨンスは、見慣れているはずの夫の裸の胸に、一瞬ドキリとした。
スタンドの明かりに、汗でしっとりとした肌が浮かび上がる。
さっきまで熱に浮かされていた病人とは思えぬほど、艶っぽく光っていた。
ヨンスは、体の奥が微熱を帯びて来るのを感じていた。

(私…ヘンだわ…)

「ヨンス…?」

着替えたミンチョルに呼ばれて、ヨンスはハッとした。
手には、ミンチョルが脱いだシャツが握られたままだ。

「どうしたの?」
「そんなに心配だったの?」

いつも、こういうことには、敏感なはずのミンチョルも、まさかヨンスが自分の裸身に見とれていたとは思わなかった。
この心優しい妻の心遣いに、愛しさがこみあげてくるのを感じていた。

「…ヨンス、こっちにおいで」

ミンチョルは、ヨンスの肩を抱くと、優しく頬を撫でた。

「もう大丈夫だよ…」
「少し、顔が熱いね…心配だな…」

ヨンスを労うミンチョルの声は、ヨンスの体を甘く溶かしていた。
頭がぼうっとなり、遠くに聴こえているような感覚と同時に、体の奥からどろりと熱いものが首をもたげていた。

(あなた…お願い…もっと強く抱いて…)

ヨンスは、心の中で叫んでいた。
今夜の自分はどうかしていると思いながらも、欲望に身を委ねてしまいたい自分がいた。

ミンチョルの唇が近づき、ヨンスの唇に触れる。
しかし、ミンチョルは、軽い口づけを繰り返すだけだった。
すっかり焦らされたヨンスは、ジンジンと体の芯が熱くなり、我慢できなくなっていた。
ヨンスの舌は、ミンチョルの唇をこじ開け、貪ろうとしていた。

(ヨンス?)

ミンチョルも、ようやくヨンスの変化に気づいた。
でも、相変わらず、焦らすようにかわすミンチョルに、ヨンスは懇願した。

「あ…あなた…お願い…」

「ダメだよ…まだ。風邪がうつるよ…」

「大丈夫…かまわないわ…」

「そうはいかないよ。キミの体の方が心配だ…もう、うつってるかも…」

ミンチョルは、少し真剣な表情をしていた。

「イヤよ。このままは…。病院へはちゃんと行くから…お願い…」

「しょうがないな…」

いつになく積極的なヨンスに驚きながらも、ミンチョルは、優しく微笑んだ。
そして、今度は、ゆっくりと唇を合わせると、唇全体を覆い激しく吸った。

口づけしながら、ヨンスを横たえたミンチョルは、ヨンスのネグリジェのボタンを片手で、するりとはずしながら、脱がせた。

露わにされた二つの白い膨らみのピンク色の頂点は、ツンと上を向いて、ミンチョルを待っていた。
ミンチョルは、その片方を人差し指と中指で挟むようにして、転がした。
そして、もう一方を口に含むと、舌で転がしながら、吸い上げた。

「ああっ…」

ヨンスは背中を反らし、体をよじった。
甘い快感が、体を走る。
ミンチョルのがっしりとした手で、揉みしだかれ、指先で頂点を弄ばれると、ヨンスは体の奥から溶け出しそうになるのを感じていた。
ピンク色の頂点は、もうこれ以上ないくらいに固くしこり、そそり立っている。

ミンチョルは、顔を上げ、ヨンスの様子を窺いながら、片方の手を小さな下着の方へ這わせていった。
下着の上から、中指で軽く撫でる。
ヨンスは、新たな快感の気配を感じながらも、反射的に、いつものように、ぴったり足を閉じようとした。
こうして拒むことが、より快感をもたらしてしまう結果になるというのに…。

こうしたヨンスの抵抗もすべてわかりきっているミンチョルは、容赦なく中指を小さな下着の中に滑り込ませた。
もうそこは、蜜があふれ、奥へ奥へと誘っていた。
下着をとり、中指を深く侵入させる。

「ああ…すごいよ…」

ヨンスの感じ方が、いつもとは明らかに違うことに、ミンチョルは気づいていた。
出し入れを繰り返すたびに、蜜は絶え間なく溢れ出している。

「あぁン…」

やがて、ヨンスは甘く小さい声を漏らし始め、ミンチョルを興奮させた。
ミンチョルは、ヨンスの足を一気に大きく開かせると、顔を埋めた。
中指で掻き混ぜながら、舌で一番感じやすい所を探り当て、刺激する。
敏感な箇所は、吸っては、ほぐされ、弄ばれるうちに、すっかり固く大きくなっていた。

「ああっ…ああっ…」

ヨンスは、腰を浮かせ、より快感を求めていた。

(私、どうしたら…)

ヨンスは、もうどうにもならなくなっている淫らな自分を感じていた。
ミンチョルに弄ばれている所から、熱いモノがこみあげ、腰を動かすたびに、その熱が渦を巻き、うねりとなって、体の奥から突き上げてくる。

「だめ、だめぇ…あなた…もう…」
「声が…出ちゃう…わ…」

喘ぎながら、ヨンスは、懇願していた。

ミンチョルは指を動かすのを続けながら、顔を上げ、少し乱れた前髪の隙間から、ヨンスを見て囁いた。

「いいよ…」
「もっと…出して…ごらん…」

ミンチョルにこんな姿を見られている…それが、ヨンスをさらに煽った。

「あああぁっ…」

ひときわ細く高い声をあげて、ふるふると痙攣し、ヨンスは果てていた。


グッタリとしているヨンスに軽く口づけをすると、ミンチョルは、全て脱ぎ、裸身をさらした。
ミンチョルの逞しい筋肉は、褐色の光を放っていた。

「ヨンス…おいで」

ミンチョルは、ヨンスを抱き起こすと、座ったままの自分の上に跨らせようと促した。
ヨンスは、少しとまどいをみせた。

「大丈夫だよ…」

ミンチョルは、ヨンスが感じすぎている今夜こそ試してみたいと思った。
ヨンスの腰を掴んで、抱え上げると、一気に貫いた。

「ああぁっ…」

ヨンスは、ミンチョルを容易に飲み込み、なおも蜜を溢れさせていた。
ミンチョルは、のけぞる白い首筋に舌を這わせる。
腰を突き上げるたびに、華奢な体に不似合いな豊かな白い膨らみが、目の前で揺れる。

「どう?」

「あぁン…」

「気持ちいい?」

「あぁ…恥ずかしいわ…」

ミンチョルはヨンスの肩を押さえ、なおも突き上げる。

「スゴイよ…ほら…」

「ああンっ…もう、私…」

快感が二人の体を駆け抜けていた。
結びつきの深さを示すように、いやらしい音が響いている。
激しく上下に揺さぶられ、ヨンスは、ミンチョルにしがみついていた。
たまらず、ミンチョルがヨンスを抱きしめる。
ミンチョルの厚い胸とヨンスのピンク色の先端がこすれ合う。
褐色の肌と白い肌が、薄闇に浮かび上がり、妖しく揺れていた。

ミンチョルが呻く。
ミンチョルに容赦なく突き上げられながら、ヨンスは、締め上げていた。

「ああっ…」

二人は、登りつめた途端、一気に果てた。



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by leejewel | 2006-10-21 15:41 | 創作文 「美日々」
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