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「二人の夜に…」







「美しき日々」その後のストーリーです。

いくつもの試練を乗り越え、
やっと結ばれたミンチョルとヨンスには、
幸せな日常、甘い夜を過ごして欲しい…
そんな思いで綴りました。




     *     *     *     *     *


「あら、今日は、何かの記念日だったかしら?」

ヨンスは、ワイングラスを用意しながら、ミンチョルにきいた。

「記念日じゃなきゃ、飲んじゃいけないかい?今夜は、飲みたい気分なんだ!」
ミンチョルは、ワインクーラーからワインを取り出しながら、うれしそうにいった。

「うん、いい感じに冷えてる。キミも飲むだろう?」

「ええ…そうね。少しいただくわ」

二つのワイングラスに綺麗な赤色の液体がゆっくりと注がれる。
酸味のある深い香りが、鼻をくすぐった。

「乾杯!」

向かい合い、グラスをあわせる。

夫婦だけでこんなゆったりとした時間が過ごせるのは、久しぶりだった。

一口飲んだだけでヨンスは、もう赤くなり始めていた。
ブラウスから覗く透き通るほどの白い胸元が、みるみるピンク色に染まる。

ヨンスは、少しとろんとした目で、グラスを置いた。
白く細い手首までも、ほんのり赤い。

「なんだ、もう飲まないのかい?」

ミンチョルはそういうと、ちょっと悪戯っぽく、眉毛をピクッとさせた。

「ええ…私、弱いわね…もう、酔ってしまったみたい…」

すっかり頬を赤く染めて、恥ずかしそうにヨンスは、いった。

「フフ…仕方ないな…」
「こっちにおいで」

ミンチョルは、ヨンスを横に座らせると、片手をヨンスの方に回し、肩を抱き寄せた。

「あなた…?」

ヨンスは、ミンチョルの胸にすがるような格好になった。
ミンチョルの厚い胸を押して体勢を立て直そうにも、ミンチョルの腕が掴んで離さない。

ミンチョルは、ヨンスをしっかりと抱いたまま、もう片方の手で、グラスを持ち、ワインを口に含むと、グラスを置いた。
ヨンスの顎を押さえて、ゆっくり唇に近づいた。

ワインに濡れたミンチョルの薄い唇が、ヨンスの唇にぴったりと重なる。
舌が滑り込んだ途端、液体が注ぎ込まれた。

「!」

ヨンスは抗おうにも、しっかりと抱きすくめられ、もはやミンチョルの唇からは逃れられなかった。
なすがままに、口移しで赤い液体を注ぎ込まれる。
ヨンスの口の端からこぼれたワインが赤く細い筋となって、その白い首筋に流れた。

やがて、ミンチョルがヨンスを、その腕からやっと解放した頃には、ヨンスは、かなりワインを飲んでしまっていた。

「美味しかったかい?」

「あなたったら…」

ヨンスは、恨めしそうにいった。
ミンチョルは、前髪の向こうから上目遣いにヨンスを見ながら、悪戯っぽく笑った。
ワインとミンチョルの唇に酔わされ、ヨンスは、身体が熱くなってきていた。

「私…なんだかヘンだわ…」

ヨンスは呟くと、今度は自分からミンチョルにしなだれかかり、愛する夫の胸に顔を埋めた。

「ヨンス…?大丈夫?」
「少し飲ませすぎたかな…」

急に心配になったミンチョルは、ヨンスの顔をのぞき込んだ。
ヨンスは、ミンチョルの胸で静かに目を瞑っていた。

「ヨンス?寝ちゃったの?」

「…ううん…大丈夫よ…」

(温かい胸…このままずっと抱かれていたい…)

ヨンスは、夢と現(うつつ)を彷徨っていた。
ただ、ミンチョルの厚い胸で、彼の体温だけを確かに感じていた。

ミンチョルは、ヨンスの髪を撫でながら、呟いた。

「ヨンス…僕たちの夜はこれからだよ…」

そして、ヨンスを抱き上げると、寝室の扉を開けた。



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by leejewel | 2006-10-19 11:14 | 創作文 「美日々」
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