「Always Love You」


こんなときに…と思いましたが
少しでも気分が晴れたらと思い
UPします。

二年ぶり以上になるでしょうか。
超久々、迷宮みんちょるです。

昨年のクリスマスにUPするつもりが
見事に体調不良で仕上げが遅くなり
シチュと展開を大幅に変更し
書きなおしたものです。


節電の折、たいへん恐縮ですが…

お時間のある方は
どうぞ。




。。。。。。。



『Always Love You』


父の期待と優しい母親、輝く未来と幸せそうな笑顔。
そのすべてをもっているあいつに、唯一、渡せなかったもの。
それが君だった。

もしかしたら、君には、こんな僕なんかより、あいつの方がふさわしいのかもしれない。
そんなことを考えた時もあった。

いつだって、やるべきことをやり、完璧に成し遂げてきた。
僕や妹の人生まで、奪われることが許せなかった。
すべてを手に入れられる力が欲しかったんだ。
妹のため。
そしてそれは、僕のため。

力がほしいなら、自分が本当に欲しいものは、手に入れちゃいけないと、心の奥の何かが警告する。

女?愛?
一生、ひとりきりを愛することなんて幻想だと思っていた。
だからこそ、誰も愛そうとはしなかった。

しかし…

突然訪れたこの身が焼かれるほどの激しい想い。
君のことを想うだけで、胸が張り裂けそうだった。

なんてことだ。
もがけがもがくほど、深みにはまった。

やがて、すべてを失った僕は、本当に大切なものを、とうとう手に入れることができた。
僕の心を包み込む暖かい光。

もう二度と離さないと、僕は、心から誓う。


・・・◆・・・



「夢か…」

ミンチョルは、目を開けた。

「あなた…どうしたの?うなされていたみたい。大丈夫?」

横にいるヨンスが、半身を起して、心配そうに、彼の顔を覗き込む。

「ああ…起こしちゃったね…ごめん。ちょっと、いやな夢を見たんだ…」

「まぁ、どんな夢?」

「いや…疲れてるだけだよ」

(キミを……なんてイヤな夢だ)

ミンチョルは、ヨンスに微笑むと、起きあがった。
そして、悪夢の記憶を振り払うように、軽く頭を振って、額に手を当てた。

「心配しないで。ああ…まだ、早いな…」

「凄い汗よ。着替えた方がいいわ」

「そうだね…」

着替えのシャツを取りに行って、戻って来たヨンスに、シャツを脱いだミンチョルが、薄明かりの中で、熱っぽい視線を送っている。

「ヨンス…おいで」

ミンチョルに抱き寄せられ、彼のしっとりした肌に包まれると、ヨンスの体の奥から、ぞくりと何かが這い出してくる。
ミンチョルの唇が、ヨンスの上唇に触れ、軽く吸い上げた。
ヨンスが思わず口を開けた瞬間、ミンチョルの舌が滑り込んだ。

「んふっ……」

侵入した舌は、容赦なくヨンスの口の中を翻弄し、舌に絡めとった。

「ンンン…」

優しくて、激しい口づけに、また、すべてを奪われる。
キスに夢中になっているヨンスの腿を、ミンチョルの指先が滑り始めた。

「あっ…ダメ…」

唇を離し、ヨンスが言った。

「ダメ?」

甘えるように言いながら、獣のような強い光を放つミンチョルの目を見ていると、ヨンスは体の力が抜けていくのを感じた。
ミンチョルは、彼女の下着をするりと取り払い、感じる場所にピタッと指を這わせた。

「あンっ…」

ヨンスが、体をビクンと震わせる。

「感じてるね…」
「昨夜も、愛し合ったばかりなのに…」

ミンチョルが、からかうように言った。

「あなたったら…意地悪ね…」

ヨンスは、恥じらいながらも、本当にそうだと思った。

私は、彼なしでは、生きていけない。

そんな想いを巡らしているヨンスのネグリジェを脱がせ、白い裸身を露わにした。
唇に軽くキスをして、顎から鎖骨まで、丁寧に口づけていく。
ツンと上を向いた頂点のその一方を、すっぽりと口に含み、舌で転がし始める。

「あぁっ…」

ヨンスの切ない息づかいが聞こえ始めた。
ミンチョルの繊細な指が、既に濡れ始めている彼女の一番感じる部分を擦りあげた。

「あンっ…」

そのまま、ミンチョルは、中指を奥へぬぷりと差し込み、ゆっくりと抜き差しを繰り返し、ヨンスを絶頂に導いてゆく。

「ああぁっ…」

軽く果てたヨンスに、ミンチョルが、ゆっくりと押し入ってくる。
ミンチョルに満たされたヨンスは、自分の体の奥が、もっともっと彼を欲しがっていることを自覚した。
眉をしかめ、快感をこらえながら、しがみついてくるヨンスを、ミンチョルは、もっと愛したいと思った。

「ああ…愛してる…」

甘く囁くミンチョルの吐息が、ヨンスの耳にかかる。
ミンチョルの激しく、滑らかな腰の動きに、ヨンスは、応えた。

「私も…」

二人は、お互いを感じ合いながら、登りつめた。


・・・◆・・・



「まさか、来ていただけないなんてことはないですよな?」

ソン社長は、ミンチョルに、ねちっこい視線を送ってよこしていた。

「はぁ…」

その視線を避けるようにミンチョルは、コーヒーカップに口をつけた。

キチャンを中心とするプロジェクトチームに任せた仕事だったが、このイベントを企画したプロダクション社長じきじきの話となると、事態も変わってくる。

「オーディションも兼ねたミニライブですから、イ・ミンチョル社長が見に来るときいたら、そりゃ、ライブも盛り上がります。それに、リストにもあるように、あなたにも興味をもっていただける面子ではないかと…なにとぞ、私の顔を立てると思って…お願いいたしますよ」

カチャリとカップをソーサーに置く音が、冷たく部屋に響いた。

ミンチョルは、出演予定者のリストを見ながら、実に営業的な冷静な笑顔で言った。

「たしかに、興味はあります。わかりました。検討しましょう」

「そうですか!いやぁ、よかった!よかった!イ社長、絶対ですからね。お願いしますよ」

馴れ馴れしくミンチョルの肩をバンバン叩き、業界では有名な粘着質のこの男は、喜びを隠しきれなかった。


・・・◆・・・




ミンチョルは、この正月(ソルラル)に一日だけ休みがとれたが、それは、家長として大事な行事があったからで、去年のクリスマスも、ヨンスの誕生日も、二人でゆっくり過ごしていない。

そうだ。バレンタインデーだって。

帰りの遅くなる予定だったミンジが友達とケンカしたらしく、すぐ帰って来たと思ったら、ヨンスの作った料理を平らげてしまった。

あれは、女のやけ食いだな。

仕事を切り上げて急いで帰ったミンチョルが目にしたのは、見るも無残なチョコレートケーキの残骸だった。
すまなそうなヨンスの顔を見て、ミンチョルは、苦笑するしかなかった。

ホワイトデーくらい、早く帰りたかったな…

ミンチョルは、小さく呟いた。

今回の仕事は、キチャンに任せるつもりで、話を進めていたが、社長じきじきに頼まれたからには仕方がない。
それに、ミニライブとはいえ、出演者は、巷でもかなり注目度の高い連中ばかりだった。
ソン社長の言ったように、原石発掘への興味が、ミンチョルの心を大きく揺さぶっていた。


・・・◆・・・



「ねぇ、お義姉さん、ほんとにいいの?」

ミンジが、スプーンを弄びながら、ヨンスに言った。

「ん?なあに?」

「ほら…欲しいって言ってた画集のことよ。この再販が最後のチャンスかもって、美術雑誌に書いてあったわよ」

「うん…いいのよ」

ヨンスは、ミンジの前にフルーツの皿を置くと、テーブルについた。
ミンジは、少し遅い朝食を食べながら、話を続けている。

「美術書専門の本屋でも、すぐに完売したらしくて…あ、ネットならあるかもしれないわ。探そうか?」

ミンジは、ヨンスの顔を見つめた。

「ミンジ…」

「ん?なあに?」

人懐こい目をして、ヨンスの返事を待っているミンジに、ヨンスは、溜息混じりに言った。

「ありがとう。でも、いいわ…」

「ええ?どうして?」

ミンジは、ちょっと納得できないという風に、頬をふくらませた。

「お義姉さんって、ほんとに、諦めがいいんだから。私なら、欲しいモノは、諦めないな…」

「ほら、そんな顔しないで。ほんとに、ありがとう。ミンジ…あなたの気持ちは、すごくうれしいわ」

ヨンスは、ミンジの頬をちょんとつつくと、微笑んだ。

「ほんとに、お義姉さんったら…」

ミンジは、一瞬、あきれたような顔をしたが、すぐにヨンスに笑顔を向けると、席を立った。

「それが、お義姉さんよね…わかったわ」


ミンジのように、欲しいモノをすぐに手に入れられる境遇で育っていない私は、モノを欲しがったことがない。
両親を早くに亡くし、家族というものを失った日から、すべてを諦めてしまった気がする。

ヨンスは、ミンジの後姿を見ながら思った。

でも、セナと出会い、大切なものを見つけたと思った。
私のすべてをセナにあげてもいいと。

そんな私が、唯一欲しいと願ったモノ。
それが、彼だった。
かなわぬ夢だと思った。
彼を愛し、彼に愛され、彼との幸せな家庭。
それが私の欲しいモノだった。

一度は、粉々に打ち砕かれた夢だったけれど、こうして、彼と共に生きる幸せを手に入れることができた。
そんな私が、もうこれ以上、何を望むことがあるのだろう?

ミンジ…
私は、諦めがいいんじゃないのよ。
一番欲しかったモノは、最後まで諦めなかったもの。
もしかしたら、すごく欲張りなのかもしれないわ。

ヨンスは、自嘲気味に微笑んだ。


・・・◆・・・



「そうだわ。自分で探してみよう」

家事をひと段落させたヨンスは、ミンジに言われた事も手伝ってか、画集のことを問い合わせた市内でも大きい書店で、例の画集を探してみようと思った。

店に入ると、すぐ店員に尋ねる。
店員は、PCの画面を見ながら、言った。

「ああ、その本でしたら、再入荷したんですが、予約していたお客様がいらっしゃって…もう。すみません。予約されなかったんですか?」

「お電話したんですが、予約がいっぱいだといわれまして…」

「そうなんですよね。入荷数が少なくて、予約もすぐに締め切ってしまったので…もしかしたら、再々入荷があるかもしれませんが、どうなさいますか?」

「あ…いいです。ご親切に、ありがとう」

(やっぱり、ミンジの言った通りね…)

店員の申し訳なさそうな顔を見ながら、ヨンスは少しがっかりして、溜息をついた。


ヨンスは、気分を変える為に、他の本を見に、美術関連の書棚に移動した。
書棚を見上げて、手を伸ばしていると、後ろから誰かが本を取ってくれた。

「あ、ありがとうございます」

ヨンスが、振り向くと、長身の男が微笑んでいた。
どこか見覚えのある顔に、ヨンスは、ハッとした。

「あ、あなたは…」

「ああ…お花見のときの?」

男は、一層、ニコニコと微笑んだ。

「奇遇ですね。こんなところで。絵に興味が?」

「ええ。今、休学していますが、実は、美大に…」

ヨンスの答えに、気を良くした男は、ぺらぺらと話しだした。

「それは、すごい!僕は…水彩をちょっと。美大に行きたかったんですが、両親に反対されましてね。絵描きで喰っていけるかって。まぁ、説得できるだけの自信も才能もなかったもので…」

やがて、誘われるまま、書店の一階の奥のコーヒーショップで、話をすることになった。

「あの、失礼ですが、今日は、お仕事は?」

(平日の昼間に、本屋にいるなんて…)

不思議に思ったヨンスは、男に尋ねた。

「ああ、今日は、休みをもらったんですよ。ずっと休みをとれなかったので…」

「そうですか」

「この前、一緒にいらした方は、ご主人ですか?」

「ええ」

ヨンスが、少し、微笑んだ。

「お優しそうな方ですね」

「ええ。今、仕事が忙しいので、体が心配で…」

「あなたもお優しい。ご主人は、幸せですね。あ、いえ、素敵なご夫妻だなと思ったもので…実は、僕、離婚してるんですよ。僕にもっと、思いやりがあったら、別れなくてもよかったかなって、ふと、思いまして…あなた方のようなご夫妻を見ると、つい、羨ましくなるんですよ」

「はぁ…どうも」

素敵な夫妻といわれて、悪い気はしない。
ヨンスは、ミンチョルの顔を思い浮かべて、幸せな気分に浸っていた。

「先ほど、何か探されていたようですが…」

「え?ああ…はい。今日は、画集を探しに来たんです。でも、もう完売してしまって…再入荷を待ちますかといわれたんですが…」

「そうでしたか…で、予約されたんですか?」

「いえ。手に入れられなくても、いいんです。そのうち、いつか見ることができれば…」

「へぇ、執着がないんですね。実に、珍しい。僕なんか、買おうと思っていたドーナツが目の前で売り切れただけで、腹が立ちますけどね」

男は、わざとおどけたように言った。

「え?ドーナツですか?」

「はい、ドーナツ大好きなんですよ。あはは。子供みたいでしょう?」

「いえ、そんなことは…あ、私、もう帰らないと…すみません」

ヨンスは、店の時計を見て、あわてて立ち上がった。

「ああ、そうですね。今日は、お引き留めして、すみませんでした。今日は、楽しかったです。もしよければ、あの…」

男も立ち上がり、ヨンスの顔を見る。

「はい?」

「あ、いえ…何でもありません。僕は、もう少し、ここにいますので。それでは…」

言いかけた言葉を飲み込んだ男は、ヨンスが帰るのを、店のガラス越しに見送った。


・・・◆・・・



今夜も遅く帰って来たミンチョルは、上着を脱ぎ、ネクタイをクイッと緩めてはずすと、ワイシャツのまま、テーブルについた。

「あなた…お食事は?」

「軽く済ませたよ。いつも遅くて、すまないね」

「じゃ、お茶でも入れましょうか」

「うん」

キッチンに立つヨンスの後姿を見ながら、ミンチョルがきいた。

「今日は、何か、あった?」

「ええ、今日は、本屋さんに画集を探しに行ったの。でも、予約した人の分しかなくて…」

「へぇ…もう入荷しないの?」

「お店の人にも予約しますか?って言われたんだけど、やめたの」

「欲しくないの?」

「ええ…もういいの」

「そうか…」

お茶を運んできたヨンスに、ミンチョルは、微笑んだ。

「あ、そうそう。本屋さんで、偶然ね、お花見の時に会った人に会ったの」

「え?」

ミンチョルは、怪訝な顔をした。

「ほら、私に道を聞いた人。覚えてる?」

「ああ、覚えてるよ。それで?」

「届かない棚の本をとってくださったんだけど…あの方、水彩をやってるんですって」

「へぇ、そう」

(届かないなら、店員に頼めばいいのに…)

ミンチョルの不満そうな顔に気付かず、ヨンスは、話を続けた。

「それでね、去年、娘さんを亡くされて…奥さんとも離婚したんですって。なんだか、お気の毒だったわ」

「ふうん、ずいぶんと、詳しいんだね」

「え?」

ミンチョルの口調が、急に冷たくなった。
この瞬間、ヨンスは、ミンチョルに話したことを後悔した。
しかし、隠すようなことは、何もない。
ヨンスは、ただ、自分たち夫婦のことを羨ましいといわれたことが、うれしくて、報告したかっただけだった。

「いや、立ち話にしちゃ、ずいぶん、詳しいなと思ってね」

前髪の隙間から鋭くミンチョルの視線が、なおもヨンスに注がれていた。

「あの、実は、本屋さんの奥にあるコーヒーショップで…」

「そう。で、どんな話をしたの?」

「絵の話とか…」

「それで?楽しかった?」

「……」

ミンチョルの詰問に、やがてヨンスは黙りこみ、二人の間にしばらく沈黙が流れた。

「僕がそういうこと、嫌いなの、知ってるよね?」

「あなた…ごめんなさい。私、軽率だったわ」

ヨンスの顔から、すっかり笑顔が消えていた。
まるで、しかられた子供のように悲しそうな顔をするヨンスを見ながら、ミンチョルは、溜息をついた。

「いや…これから注意してくれれば、それでいい」

ミンチョルは、力なく言うと、席を立って、バスルームに行った。
熱いシャワーを浴びながら、ミンチョルは、思った。

あんな話をするために、帰って来たんじゃないのに。
君の笑顔が見たいと、いつも願っているのに。

ヨンスの悲しそうな顔を思い出し、ミンチョルは罪悪感を感じていた。

君を悲しませるのは、僕のどうしようもない独占欲。
でも、この間の夢みたいに、君を失う時がくるんじゃないかと不安になるんだ。
そんなはず、ありっこないのに。


・・・◆・・・



ホワイトデーミニライブは、予想以上の大盛況ぶりを見せた。
キチャンの手腕も、なかなかのもので、それを確認することができたのも、ミンチョルにとっては、うれしいことだった。
ライブに出演する若者たちの間では、すでに、Variousの社長がわざわざスカウトにきているとの噂が広まっており、必要以上に会場内の緊張感は高まっていた。


イベントは無事終了し、関係者だけの打ち上げが行われた。
ミンチョルが、関係者と談笑していると、キチャンたち数名の社員が近づいてきた。

「社長、あとのことは、私たちでやりますから。な?」

「はい」

キチャンが中心となったこのプロジェクトチームは、団結力が強く、仕事に対して情熱的だった。
彼らなら、これから、会社の原動力となってくれるだろうと、ミンチョルは期待していた。

「それに、今日は、ホワイトデーですからね」

調子づいて、社員の一人が、ミンチョルに軽口をたたいた。

「こら…」

キチャンがあわてて、その社員に注意を促す。

「ハハハ…そうだな…じゃ、頼んだよ」

キチャンの顔を見たミンチョルは、眉をピクリと上げてニッと笑った。



・・・◆・・・



「ただいま」

「おかえりなさい」

「ミンジは?」

ミンチョルは、着替えながら、ヨンスにたずねる。

「今日から、合宿よ」

「ああ、そうだったっけ」

すっかり忘れていたらしいミンチョルの顔を見ながら、ヨンスは微笑んだ。

「ミンジ…女の子ばかりの合宿、楽しいでしょうね」
「あなた…お食事は?」

「今日のイベントの打ち上げで、少し食べたよ。ああ、スープか何かある?」

「ええ」

「君のスープが飲みたいな…」



ミンチョルが、温かいスープを口に運んでいる。

「家で、こうしてゆっくりするのは、久しぶりだ」

「そうね。今夜は、遅くなるんじゃなかったの?」

ヨンスの顔を見ながら、ミンチョルはうれしそうに話し出した。

「今日は、ホワイトデーミニライブがあってね、形を変えたオーディションなんだけど、キチャンさんに任せて帰ってきたんだ。彼、頼もしくなったよ」
「ヨンス…」

ミンチョルが、急に真面目な顔をして、ヨンスをじっと見つめた。

「なあに?」

「これ、君に…」

ミンチョルは、紙袋から綺麗にラッピングされた包みを取り出すと、ヨンスに渡した。

「あなた…」

「今日は、ホワイトデーだから。開けてみて…」

ニコニコしながら見守るミンチョルの前で、包みを開けてみると、中には、ヨンスが欲しかった画集が入っていた。

「どうしてこれを?予約だけでもう品切れのはず。再販もしないって」

「僕は、絵の話なんかできないけど…君の欲しいものはわかるんだ」

「ほんと?」

「いや、白状すると…ミンジから聞いたんだ」

ミンチョルは、照れ臭そうに、指先で鼻をなでた。

「あなた…ありがとう」

ヨンスは、にっこりと微笑んだ。
目を輝かせて、画集を開いて眺めるヨンスを、ミンチョルは、満足そうに眺めている。
やがて、ヨンスは、パタンと画集を閉じ、顔をあげると、ミンチョルを見た。

「でも、私、バレンタインデーのプレゼント、ちゃんとあげてないわ…」

「いいよ。君には、毎日、プレゼントをもらってるようなものだから」

「え?」

微笑んだままのミンチョルに、悪戯っぽく笑うと、ヨンスが言った。

「じゃ、あなた…目を閉じて…」

言われた通りミンチョルが目を軽く閉じると、ヨンスが、額にキスをした。
いつも彼にしてもらっているように、そのあと、そっと唇にキスをする。
ヨンスが唇を離しても、ミンチョルは、まだ目をつぶっている。

「あなた?」

ヨンスが、訝しそうに、小さな声で呼ぶと、ミンチョルは、目を閉じたまま、ニッと微笑んだ。

「こういうのも、悪くないな…ヨンス…もう一回…ダメ?」

「あなたったら…」

ヨンスは、また、そっと唇を重ねた。

そのとき、ミンチョルが、たまらず、両腕でぎゅっと抱き締めた。

「あなた…」

そして、目をゆっくりとあけて、腕の中のヨンスを見つめて、微笑む。

「あなた、この前のことだけど、ほんとにごめんなさい」

「ん?何?」

ヨンスは、ミンチョルを見つめながら、話を続ける。

「私たちが、素敵なご夫妻だっていわれて、うれしくて…それをあなたに話したかったの」

ミンチョルが、ヨンスを見つめた。

「そうだったのか…僕の方こそ…大人げなかったね」

ヨンスが首を横に振ると、ミンチョルが、もう一度抱きしめた。
ヨンスは、じっとミンチョルを見つめている。

あなた、不安にならないで…
私は、あなたから、離れない。
いえ、離れることなんて、できないの。

「あなた…愛してるわ…」

ヨンスが、そう言い終わるか終わらないうちに、彼女の唇は、ミンチョルの唇で塞がれた。
唇全体をすっぽりと覆う深い口づけ。


そして、ミンチョルは、ヨンスを抱きあげ、寝室へと運んだ。
ドアが、静かに閉められる。


暖かな君の光の中で、僕は、こうして満たされる。
この光を失うなんて、到底考えられない。

ずっと、ずっと、続けよう、君と僕の幸せな時間(とき)を。
この時間(とき)のためなら、僕は何だってするよ。


いつまでもずっと愛してる…



・.*. .:。Fine ・.*. :。

迷宮みんちょる
楽しんでいただけたでしょうか?

こんなときこそ
幸せな気持ちになってもらえたら…

そんな願いを込めて。

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by leejewel | 2011-03-20 11:24 | 創作文 「美日々」
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